ROKKO MEETS ART 2012 Catalogue (Japanese only)


TAN Ru Yi - Grow in the patio (p. 24-25)
group show (official booklet)
ROKKO MEETS ART 2012





六甲ミーツ・アート 芸術散歩2012オフィシャルブックレット
タン・ルイ《中庭の宙》(p.24-25)
2012年9月15日− 11月25日
展示場所:六甲オルゴールミュージアム中庭

ROKKO MEETS ART 2012
















《中庭の宙》Grow in the patio
プラスチック製洗濯バサミ、中庭既存のベンチ
2012
タン・ルイ


作者は変換の名手です。というと語弊がありそうですが、ここでは変換とは「日常の風景」や「身の回りの事物」を一度、作者自身の内側に取り込んで、その意味や存在感を再び強調あるいは再構成しながら作品化する手法のことを指します。「翻訳」と言い換えてもよいのかもしれません。

代表作のひとつに、段ボール箱で犬や猫などのペットを表現した作品があります。段ボールはあくまでも箱の形が維持されたまま使われ、その箱が作者の世界のなかではペットと同じように扱われています。鑑賞する側においても次第にその四角い箱が犬や猫に見えてくるという「変換」が行われます。それはまるで犬を撮影したデジタル写真をドットが見えるまで拡大し、そのドットを単純化していくと四角くなるという「変換」を作者のなかで行い、作品化しているかのような印象をもちます。

本出展作品「中庭の宙」は、庭や物干し台、ベランダなどで使うカラフルな日用品で作られています。鮮やかな原色の樹脂で大量生産された洗濯バサミや布団バサミは、ポップで安価で長持ちする便利なものですが、自然や環境に対しては「そぐわないもの、溶け込まないもの」という印象を私たちは持っています。その日用品を素材として彫刻をつくり、自然豊かな環境の中に配置します。そのカラフルな彫刻は風景を一変させますが、そこに調和がとれた美しい空間が出現することに鑑賞者は驚かされます。膨大な量の日用品の集積によってつくられた「中庭の宙」は、モノの価値を変換する手法を用いた作者の代表作となる作品です。


文/高見沢清隆(六甲オルゴールミュージアム 館長)
六甲ミーツ・アート 芸術散歩2012 共同キュレーター






Popular Posts